占断(せんだん)してもらったけど、質の低い占い師だった

 

恐らく生涯で一番つらい恋人との別れだったと思う。

 

別れによって恋人で会ったのかどうかも今ではわからない、そんな、これまでの積み重ねをすべて破壊されて失った時期だった。そんなものの実感は、日々の忙しさと時間の経過でどんどんどんどん遠くなって薄まっていくけど、言葉の上では生涯で一番辛かったと覚えている。

 

 

そんな時、正直、当たるとか当たらないとかどうでもよくて、ただ的確なことを言ってくれて、自分の状況や心情を理解してくれればそれでいいという気持ちで占い師に占いを頼んだ。

 

ある占い雑誌の後ろの方のページの上下のうち下段に、所在地を新宿とする占い館のアドレスや電話番号、霊能者だという、名前の書かれた紹介文が数人分載っていて、そこから一人選んで決めてから電話をかけた。最初に館の電話受付のようなところに繋がり(といってもハコモノじゃないかもしれないし、案外占い師も同じ場所にいるかもしれないし、わかりません)

 

占ってほしい内容やおおまかな悩み事、指定する占い師を聞かれ、料金やシステムの説明をされていったん終話する。改めて占い師から電話がかかってくる仕組みになっている。切ってしばらく待てということだった。

 

ほどなくして携帯が鳴った。
ちょっと疲れたような、若くてだらんとした女性の声だった。

 

正直、初めて電話占断を受けた時の占い師は、高層霊の言葉が聞けるとのことで、本当かどうかはわからないが、とても占いの精度が高かった。しかも、すごくすっきりとよどみのない話し方をするおばちゃんの声で、それが商売商売していなくて、余計に底なしの安心感をくれたのだ。

 

こちらへの励ましまでうまかった。しかも占う前に高層霊を呼び出す時間などもあって、非常にリアルでそれでも健全な感じがあった。

 

この時はそれがなかった。飲み屋のねーちゃんみたい。いかにも、いかにも。で、占い師に対する巷の評判の中でよく言われる「誰にでも当てはまること」を言っているのもまるわかりだった。

 

それで私は逆に心を開いて、本気で自分の経験したことをあからさまに話してみることにした。

 

今なら時間が経つごとに安くない料金がかさんでいくので、絶対にやらないが、以前はあまり料金に糸目を付けなかった。本気で話してどうだったかというと、相手の占い師は占いというよりだらっとした女の口調で、疲れたように同調や達観目線からの物言いを繰り返すばかりだった。

 

私は占い師とのコンタクトからではなくて、自分があからさまに話しているうちに、自分でも描き出さなかった恋愛の始まりから終わりの全景を描き出してしまい、初めて自分の恋愛を理解したような気がして、思わずぶわっと涙が出た。

 

「なんで男に怒ってやんなかったの」

 

占い師が聞いてきた。

 

「私のせいだって思わせたくなかった」
「泣くことないよ、そんな男のために」
「そうですね、でも好きだったから」
「うん」

 

なんか、実りも進展も、ことの解決もないまま、なんだか私だけが吐露して時間が過ぎた。
最後に占い師は言った。

 

「いろいろあるよね、私も最悪だもん、今」

 

やる気をなくしている時期だったのか、相手が私でよかったなと思う。正直、占い師も人だから、割とどのへんを生きているのかがこちらからも見えてしまうこともある。

 

理屈の構築が全く安かったり、浅かったり、江原啓之さんの出現以降は似たようなキーワードを使う人が増えた、っていうようなケースみたいに、割と霊能力の高いカウンセラーや占い師の受け売りでやってる人がいたり、別に超人でもなく、本当は霊能力なんかないくせにやってそうな人もたくさんいる。

 

別にそれはそれで構わないんだけど、日々、生きていて、人間として何かが精進させられていて、そんな成果が占断に活かされている人が増えるといいなと思う。占断内容や結果じゃなくて、どれだけきちんと電話の相手の話を聞いて、なおかつ話せるかということなのだと思う。

 

40代女性H.Aさん
使った電話占いサイト:不明